中学校に「情報・技術科」が新設へ。小・中の情報教育がどう変わるか
2026年8月、次期学習指導要領に向けた審議まとめの素案が公表されました。中学校に「情報・技術科」、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域」を新しくつくる方向です。いつから、何が変わるのか。文部科学省の公表資料から整理します。
中学校に「情報・技術科」という新しい教科ができる方向です
「中学校に新しい教科ができるらしい」という話を、耳にしたことはありませんか。
2026年8月31日、中央教育審議会の教育課程企画特別部会が「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ(素案)」を示しました。次の学習指導要領で何をどう学ぶかを議論してきた、その中間的なまとめにあたる資料です。
そこで改訂の重要な柱として挙げられたのが、小学校の「情報の領域」と中学校の「情報・技術科」の創設をはじめとする、情報活用能力の抜本的な向上でした。
中学校の「情報・技術科」は、いまの「技術・家庭科」の技術分野を土台に組み直される教科です。文部科学省が8月18日に報告した「学習指導要領改訂を見据えた情報活用能力の抜本的向上について」によると、情報技術と生産技術を一体的に学び、技術によって課題を解決したり新しい価値をつくったりする経験を重ねる教科として構想されています。
同じ資料は、いまの技術分野では「コンピュータやネットワークの仕組み理解やデータ活用が十分に扱われていない」ことを課題に挙げています。名前が変わるのではなく、扱う中身を組み替える話だと受け取るのが近そうです。
小学校では、総合の時間に「情報の領域」が加わります
小学校側の変化も見ておきましょう。
新しくつくられるのは「情報の領域」です。教育課程部会の情報・技術ワーキンググループが8月にまとめた取りまとめ(案)では、総合的な学習の時間に付加される領域として、探究の領域と並ぶ位置づけが示されました。
学び方は2通りです。探究の流れのなかで使う「ミニ探究ユニット」と、基礎を独立して扱う「情報ブロック」を組み合わせる形が想定されています。
内容は第3学年から第6学年にかけて、タイピングやクラウドの使い方、検索、ファイルの作成と管理、プログラミングの体験、メディアリテラシーへと広がります。第6学年では、生成AIに質問や画像生成をさせてみて、入力の仕方で結果が変わることや、誤りが含まれる場合があることを確かめる学習も例に挙がっています。
小学校ではいま、総則での取扱いのみで教科等に明確な位置付けがなく、地域や学校による差が大きいとされています。そこに共通の土台を置こうという趣旨だと考えられます。
いつから変わるのか、学年で言うと誰が対象か
気になるのは時期でしょう。
文部科学省が7月に示した改訂スケジュールの資料では、全面実施は小学校が令和10年度(2028年度)、中学校が令和12年度(2030年度)、高等学校が令和16年度(2034年度)と示されています。高等学校は令和14年度(2032年度)の入学生から順次とされています。
そのうえで、8月18日の資料は経過措置について「小学校は令和10年度から、中学校は令和11年度から段階的に講ずる方向で具体の内容等は今後精査」としています。まだ動く余地のある部分です。
学年に置き換えてみます。2030年度に中学1年生になるのは、いま小学3年生のお子さんです。つまりいまの小学3年生あたりから下の学年は、中学校で「情報・技術科」を学ぶ見通しということになります。小学校の「情報の領域」は2028年度からなので、いま小学生のお子さんの多くが在学中に新しい内容に触れそうです。
授業時数はまだ検討段階です。7月8日の検討資料には、小学校で各学年最大30〜35コマ程度、中学校で1・2年に各学年最大70コマ程度という案が示されました。ただし「年間の標準総授業時数を現在以上に増加させない」ことが前提です。何かを足すぶん、どこかを整理する設計になります。
授業の中身は「体験する」から「作って解決する」へ
新しい教科で、プログラミングはどう扱われるのでしょうか。
ワーキンググループの取りまとめを読むと、段階の違いがはっきりしています。小学校は「プログラミングを体験」、中学校は「身近な課題を解決するプログラムを制作」、高等学校は「アルゴリズムとシステム開発」。体験から制作へ、制作から設計へという順で積み上がる形です。
中学校では、センサーを使った条件分岐や、手作業とコンピュータで並べ替えを比べてアルゴリズムの工夫を考える学習が例に挙がっています。高等学校の情報Ⅰには「PBLによる課題解決の実践」という項目名も見えます。
知識を覚える方向ではなく、手を動かして課題を解く方向へ寄っていく。ここが今回いちばんの変化だと考えられます。
学校で学べることと、その先に残るもの
とはいえ、時間には限りがあります。小学校で各学年30コマ前後という規模のなかで、操作もメディアリテラシーもものづくりも扱うことになります。学校が担うのは、どの子にも必要な土台の部分です。
いっぽうで、プログラミングで身につく力の多くは、うまくいかなかったときに立ち止まった回数から生まれます。思ったとおりに動かない。1行ずつ確かめる。直してもう一度動かす。この往復をくぐった数が、そのまま「自分で課題を解く」感覚の厚みになっていきます。
だからこそ、土台の上に「自分でつくってみる時間」をどこで確保するかが、これからの家庭の関心事になっていくのではないでしょうか。
Swimmyが大切にしている「作る・試す・発表する」
IoT×AIプログラミング専門スクールのSwimmy(スイミー)は、「CS for ALL(Computer Science for ALL)」を教育理念に掲げています。どんな進路を選んだとしても必要になる、自分で考え、試し、課題を解決する力を育てることを重視しています。
レッスンは「作る・試す・発表する」の繰り返しです。思いどおりに動かなかったことを失敗と呼ばず、原因を探すTrial&Errorの時間として扱います。
メンターはすぐに答えを教えません。「どこまでは思ったとおりに動いた?」と一緒に切り分けていきます。答えを渡せばその場は進みますが、次に自分で直せるようにはなりにくいためです。
つくったものを人に見せ、なぜそうしたのかを言葉にする時間も置いています。説明しようとすると、自分がどこで迷い何を選んだのかを、自分でも整理することになります。
ベーシックからエキスパート、そして実践へ
Swimmyのカリキュラムは、興味の入口から本格的なコードまで段階でつながっています。
ベーシックコースでは、MESHやScratch、Springin'、micro:bitを使い、ブロックやセンサーで「思ったとおりに動かす」経験を重ねます。中学校の「情報・技術科」で扱われる予定のセンサーや条件分岐と、地続きの内容です。
エキスパートコースはMinecraft × Python。遊び慣れた世界のなかで、文字でコードを書く段階に進みます。ブロックからテキストへの移行はつまずきやすいところですが、好きな題材があると乗り越えやすくなります。
実践コースでは、Python によるAI・データ分析、Unity・C#、HTML・CSS・JavaScriptによるWeb制作へと広がります。高等学校の情報Ⅱに「AI」や「先端技術と情報システムデザイン」といった項目が構想されていることを考えると、学校の学びの先まで見通せる設計になっていると言えそうです。
制度が動いたいま、家庭でできること
今回の資料は、小・中・高を通じた情報教育の体系を描こうとしたものです。学校で扱う内容は、これから厚くなっていきます。ただ、慌てて準備が必要という話ではありません。全面実施までには時間がありますし、学校で学ぶ内容は学校で学べます。
家庭でできるのは、お子さんが何かを「つくってみたい」と言ったときに、その時間を少し確保しておくことくらいかもしれません。うまく動かなくても放っておける環境があると、子どもは自分のペースで直しはじめます。
Swimmyでは無料体験レッスンを行っています。お子さんが実際にどう手を動かすのか、ご興味があればのぞいてみてください。